最初から読む方は↓
215: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/12/05(水) 22:23:56.36 ID:fdVJRODs0
担任は中年の特徴がない男性だ。
社会科を担当している。

副担任は来年には定年が決まっている初老の男性だった。
こちらは数学。

ホームルームの時、副担任は黙って立っていることが多い。
中年の担任は、副担任を気にしながらホームルームを進める。

年功序列の世界であるから、職責としては副担任より担任が大きいのだろう。
しかし、職員室内の力関係では年長者である副担任であることはよく分かる。

この日も担任は妙にハキハキした声を出しながら、やる夫のようにチラッチラッと副担任に視線を送っていた。

生徒よりも職員室内の政治と向き合う教師。
人間らしくていいじゃないか。

ホームルームの議題は、遠足だった。

216: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/12/05(水) 22:25:23.17 ID:fdVJRODs0
>>215
さっそく間違え。

職責としては副担任より担任が大きいのだろう。
しかし、年功序列の世界である。
職員室内の力関係では年長者である副担任であることはよく分かる。

217: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/12/05(水) 22:27:20.80 ID:fdVJRODs0
小学校ならいざ知らず、高校にもなって遠足というのはいかがなものか? 

とはいえ、保守の牙城ともいうべき、老舗(笑)の県立高校である。
慣例から抜け出すことは容易ではないのだろう。

まったくもって行きたくない。

この頃の俺は、学校での生活については「戦略的に生きる」とは決めていたが、学校との向き合い方そのものまでは踏み込んで考えていない。
つまり、漫然と授業にはちゃんと出ていた時代である。

サボるという発想はなかった。

それもアルバイトが始まると、瓦解する。
俺としては瓦解したのではなく、効率に目覚めただけなんだが、母親や教師から見ればネガティブな印象しかないだろう。

218: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/12/05(水) 22:28:39.86 ID:fdVJRODs0
遠足はとてもとても気が進まなかった。
行っても楽しいわけがない。
とはいえ、最初に「高校で遠足をはじめた」奴を恨んでも仕方ないことだ(※なんか、選択筋太郎の文章に影響を受けている気がする・・・)。

さて、遠足では「組」を作ることになった。

DQN高校だからといって、いきなり暴力団を作るという話では、もちろんない。
単なるチームだ。
チームとはいえ、チーマーともまったく関係ない(しつけーって)。
当時、チーマーなんて言葉は埼玉にはなかったのだ。

組は2人組だ。
バスの席もこれで決まる。

クラスがざわざわとする。

石橋はダンカンと組んだ。
柴田は的場だ。
前田だけ弾かれた形だが、バンドマンみたいな茶髪の奴と組むことになった。
いちいち選定が体裁気にしてて笑える。

219: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/12/05(水) 22:30:25.88 ID:fdVJRODs0
俺は真田から「よろしく頼むわ」と言われた。

おそらくそうなるだろうなぁ、とはこの頃、俺も予想するようになり、真田から何か言われても、あまりびっくりしなくなっていた。

真田もクラスで話す奴は俺しかおらんしな。

俺「こちらこそ」

現時点で石橋に、俺が真田を取り込む動きをしていることを悟られることは避けたい。
どんな妨害が待っているか分からない。

とはいえ、真田と遠足も悪くない。
真田が一緒にいれば、石橋・ダンカンは寄っては来ない。

であれば、暴力沙汰に巻き込まれることもなく、平和に一日を終えることも出来るだろう。

うむ。

プラス、マイナスで考えると、じゃっかんプラスか。

よしよし。
であれば、遠足を楽しむことにする。

俺はポジティブな気分になっていた。

真田「ま、俺は単位が関係ないから、遠足は休むけどな。悪りぃ」

きゃああああああああああああああああ。

220: 名も無き被検体774号+ 2012/12/05(水) 22:56:52.41 ID:crcobq8s0
きゃああああああああ

225: 名も無き被検体774号+ 2012/12/05(水) 23:06:28.58 ID:Uu9+A0SP0
あああああああああああああ

226: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/12/05(水) 23:10:44.71 ID:fdVJRODs0
真田が来ないのであれば、俺の真田大作戦もまだまだ水面下で進められる。

石橋も
「単に隣の出川と組みを作り、で当日にバックレられた」
くらいに考え、警戒もしないだろう。

さて、ここで柴田と的場の中学時代の話をしたい。

柴田と的場の中学は、番格というのが厳密に決まっているところではなかった。
それでも、この二人が番格らしきものになっていた。

これは前にも書いたが、番格というものが、かっちり決まっているところもあれば、まったくないところもある。

227: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/12/05(水) 23:22:37.56 ID:fdVJRODs0
ある中学の番格はこうだ。

一人だけめちゃくちゃに喧嘩が強くて、突出している。
後は全部、舎弟。
想像がつきやすいパターンであるが、実際は少ない。
もっと地方の高校とかに行けばいるのかもしれないが、俺の知ってる範囲ではひとつしかなかった。
まだ話に出てこないが、甲南中の番格がこのタイプだった。

または、均等に凄いと、合議で番格が決まる。
この場合、番格自身にもあまりそういう自覚はないが、他校などからは一応代表とみなされる。
真田がいたバラ中の須藤元気がこのパターンだ。

228: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/12/05(水) 23:25:11.53 ID:fdVJRODs0
合議で決まることもある。

「Aが一番強いのかもしれないけど、Bも相当だ。
Cだって、喧嘩になるとメチャクチャだからなぁ」

という場合。
K-1じゃないんだから、トーナメントをするわけではない。
それに、ツレであるから、タイマンはって強さを確かめ合うとか、変なことはしない。ああいうのはフィクションだけだ。

結局誰が一番強いか、最後まで分からない中学なんてのも多い。

そして、この合議のパターンは結局、AでもBでもCでもなくて、それほど喧嘩は強くない奴がなるケースもある。

コミュニケーション能力が高く、慕われている奴だ。
とはいえ、もしも喧嘩が弱くても、根性が鬼でなければ、もちろんダメだ。

229: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/12/05(水) 23:25:44.17 ID:fdVJRODs0
たとえば、ボコボコにされても、絶対に音をあげず、バットがあれば、それで頭を打ちぬくような半分キチガイ。

「痛みに強く」「後先考えず」「でも仲間のことは大切にする」という者だ。

いるんだよ、わずかに、だが。

実際、北中の番格はこのタイプだった。

身長は150cm台だったし、体も華奢だった。神社で喧嘩して鉄パイプで相手を殴る。
シメた相手を車(もちろん無免許)で山に連れていき、埋める。
北中出身のゴリラみたいな連中が、恐れおののいていた。
筋を通す相手にはちゃんとしてるんだが、ハンパな奴には容赦がなかったから。

このように、様々なタイプの番格があるわけだ。
ただ、番格が明確になっているところは、共通したところもある。

外交が発生する中学である。

そう、他校を積極的に侵略する場合、番格の存在は絶対に必要になる。

逆に言えば、DQNだからといって、番格が決まっていない中学も沢山ある。
そして、そこは、この話でいう北中や東中ほどの凶暴さはないため、番格なんてものはない。あったとしてもなんとなく、である。

230: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/12/05(水) 23:42:20.24 ID:fdVJRODs0
つまり、柴田と的場の中学は、DQNではあるが、わりとおとなしい中学だったのだ。

それから、もう一つ。
ちゃんと書かないといけないことがある。

それを、いつのタイミングで書くか、俺はずっと迷っていた。

俺と同世代で同地域の奴なら、とっくに分かってるはずのことだ。

ヤンキー漫画って色々あるよな?

ビーバップハイスクール
カメレオン
クローズ
特攻の拓
ギャングキング
ランチキ
エリートヤンキー三郎

中には荒唐無稽なものもあるが、けっこうリアルに描いているのもある。

でも、どれも俺からすると「嘘の共通点」があるんだ。
なんというか、前提から逸脱してしまっている。

231: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/12/05(水) 23:43:42.43 ID:fdVJRODs0
俺はヤンキーやらDQNのマンガが好きでよく読んでいる。
面白いよ。大好きだよ。

でも、まったく違う世界、外国の話を読んでいる気分でいる。
完全にフィクションというか作りモノにしか見えない。

まぁ、スピルバーグの映画をみて「リアリティがない」とは言わないもんな。
楽しければいい。

でも、不思議に思うよ。
なんで「普通のヤンキーマンガってないのだろうか?」と。
だって、俺が見た世界とまったく違うのだから。

何が違うか?

なんだと思う?
240: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/12/06(木) 01:56:14.91 ID:NaaulomB0
さきほど俺は 

ヤンキー漫画は、俺が見た世界とまったく違う 

と書いた。 

あるいは、俺の周りだけなのかもしれない。 
であれば、マンガにリアリティがないと言ったことを取り消さないとならない。 

しかし、やっぱり俺は納得がいかないのだ。 

たとえば、ビーバップ。 
城東の番は山田だ。立花はキクリン。 
カメレオンでも松戸のなんちゃらは松岡がシメて、カス学は藤代がしばらくは頭だった。 
特攻の拓にしても、なんにしても、どこの高校にも大抵は番格がいる。 

彼らは覇権を争っていたり、地域を仕切っていたりする。

241: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/12/06(木) 02:04:53.01 ID:NaaulomB0
さて、少しだけ余談させろ。 

オバマが出てきて、以前とは変わってしまったが、確かにあった。 
米国の大統領に、黒人と女性はなれない、という「見えない壁」が。 
直前までは行けるが、大統領にはなれなかった。 
この見えない壁を「ガラスのカーテン」と米国のマスメディアは呼んでいた。 

ヤンキー漫画のほとんどは、なぜか高校生の物語であり、そして、必ず番格がいる。 

しかし、俺は「高校生の番格」というものを見たこともなければ、噂に聞いたことさえなかった。 

もう一度書く。 

高校生になってまで、番格だの頭だのやってる奴を見たことがないのだ。 

俺の知ってるDQN高校には、番格なんて存在しなかった。 
当然、俺の高校にも。 
学食で会った先輩たちは学内で逆らう奴はいなかったとは思う。 
しかし、番ではない。 
そもそも、小競り合いはあったとして、高校vs高校のようなことは一切なかった。 

そして、さらに重要なことは本当に危ない奴は高校には行かない。 
ほとんどが、働いているか、定時制高校に行っている。 
定時制も途中でやめたりする。 

DQNだヤンキーだと言っても、昼間の高校に入学した時点で、実はけっこうまともな部類である。

242: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/12/06(木) 02:17:01.36 ID:NaaulomB0
たとえば北中。 
DQNは30名ほどであったが、中でもやたらに気合の入ったのが10人くらい居た。 
正確な数は覚えていないから、10人としよう。 
全員が高校に行かないか、と言えば、必ずしもそうではない。 
10人のうち、高校に来たのは3人だった。 
この3人は、いわゆる中卒DQNとも対等な関係であった。 
しかし、多くの高校DQNは、中卒DQNの前では萎縮する。 

高校に行ってるヤンキーのほとんどが、中卒ヤンキーとはそのDQN度違いすぎる(真面目に書けば書くほど笑えるのが変だな、この話)。 

俺は高校2年の時に、北中の番格の出所祝いというものに出かけて行ったことがある。 
彼は当然、高校には行っていないし、鑑別だか少年院から出てきたところであった。 

スナックで宴会をしたが、ヤクザ入門みたいな話になり、ほとんどのヤンキーは興味津々とドン引きを3秒ごとに繰り返していた。 

いわゆるトップクラス(www)にもなれば 
「高校に来てまで、番とか、勘弁してくれよー」 
となる。 

中学時代にきっちり不良をやった人間は、中学を卒業してまで、頑張るみたいなことはない。 
そりゃ、喧嘩はするし、悪さもする。 
おいおい書くが、カツアゲをするなどもやる。 
このカツアゲにしても、3つのパターンがあって、絶対にしない奴、迎合してやる奴、大好きな奴、とある。 
このタイプによって同じDQNでも違う生き物になる。 
石橋は当然、大好きな部類だ。 

高校から急に調子ずく奴もいる。 
そういうのが、あまりに目立つ場合、本格DQN(つまり中卒DQN)の餌食になる。 

高校に行ってないからと言って、地元にいないわけでもなく、横や縦のつながりはあるから、そこはバッティングするわけだ。

243: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/12/06(木) 02:27:28.07 ID:NaaulomB0
中学で名前が売れなかった奴は、高校から頑張ってみたところで、DQNヒエラルキーの中ではせいぜい中の上までしかいけない。 

ガラスのカーテンがあるのだ。 

しかし、高校になると、今度は「高校デビュー」という新しい属性も出てくる。 

これは付属の私立でいえば、小学校からエスカレーターで上がった奴と、高校から入学した奴だと区別があるようなものだ。 
ヤンキー社会でも超えられないカースト制度は存在する。 
そして、当然ながら高校デビューは下に見られる。 

あわせて、ビーバップハイスクールが全盛期であり、真面目な奴でも、ちょっとワタリのあるボンタンくらいは履いていた。 

ただ、本格DQNはもう相手のことなんか気にしない。 
たとえば前田は、恰好が不良でなければ口も利きたくない、という風情でいる。 
しかし、中学でDQNを極めた奴は、あまりそういうことにこだわりはない。 
面白ければ、真面目だろうが、不良だろうが、付き合う。 
ただし、ハンパなDQNにはやたら威圧的である。 

いずれにしろ、高校生をやっているDQNからすれば、ガラスのカーテンはあったとしても、中卒DQNは普段は見えない存在である。 
そして、DQNやDQN予備軍の母集団は中学時代に比べて増えるのも事実だ。 
つまり、相対的には地位向上なんてものも目指せる。 
そこで、中学でソフトDQNだった「一応はデビューじゃないDQN」が頑張るもんで、余計にややこしい話になるのだ。

244: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/12/06(木) 02:28:01.70 ID:NaaulomB0
無理、寝るー 
お前ら、今日もありzzzz