最初から読む方は↓
845: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 00:41:16.53 ID:RCcQxMMg0
あれこれ落ち着いた。
これから、酒を飲みながら、まったりと書き進んでいくぜ。
安い酒でも、やることやって飲むと美味いもんだ。
魚肉ソーセージにかぶりつきながら、週末の2chを楽しむぜ。
あまりサクサク進まないと思うが、起きてる奴いたら、付き合え、下さい。

847: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 00:58:58.75 ID:RCcQxMMg0
ダンカン「2年になったら学食いけるんだけどな」

石橋「別に、1年でもいいんだけどな、
上ばっかでうぜーからなぁ」

何、うざいとか言っちゃって。
ほんとは怖いくせに。
このクソ番長は!
分かってるんだからね!

この日も、早々に昼飯を食い終わった石橋とダンカンは
暇を持て余して、
ノロノロと亀のよにランチを食べている俺の席にやってきた。

石橋「出川、手伝ってやんよwww」

いらねーよ、クズが。

という俺の声が届くわけもなく、
俺は手からパンを取り上げられ、
無理矢理口に詰め込まれた。

ダンカン「でででがわ、でーがーわーのパーンは
まずいパーン」

変な歌を作詞作曲しやがって・・・

ダンカン自作の珍妙かつムカつきが止まらないメロディの中、
俺は石橋にがっちり顔を固定されながら、
パンを押し込まれ続けた。


       ____
     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \
  /  o゚⌒   ⌒゚o  \   
  |     (__人__)    |   もう食えないお・・・
  \     ` ⌒´     /    


と言っても止めてくれるわけもない。

ぐいぐい、ぐいぐいと押し込まれる。

俺はえずき、涙を流した。

ダンカン「食いながら泣いてるwww
そんなに旨ぇんかよwww」

いつか殺す・・・

848: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 01:03:05.35 ID:RCcQxMMg0
石橋「お前さ、ガッコ辞めた方がいいんじゃね?」

虫けらを見る目ってこういう目を言うんやね。
俺も同じ目でお前を見てるよ。

ぜってー辞めねー。

母親がこの苦しい中でも「せめて高校でも」
と言って学費を出してくれているのだ。
家では言い争いばかりだが、それでも俺は感謝していた。

オヤジの会社が倒産するまでは、
学費を親が払うのが当たり前だと思っていたが、
金というのは、湧いて出てくるものではない。

重くなった身体を引きずって、下げたくもない頭を下げて、
ようやく手に入る。

払った金を無駄にしてたまるか。
ガッコはクーリングオフなんて効きやしねーんだよ。

俺は泣こうが、喚こうが、殴られようが、蹴られようが、
損だけはしたくない。
金の損だけはしたくないのだ。

俺には稼ぐ術がない。
だったら、金が減ることだけは避けなければならない。

今ならリンチされた直後にさらに自傷行為を行い、
そのあとで診断書をもらい、民事訴訟を起こして、
石橋ダンカンから金をとるところだが、
この頃の俺に実社会を生き抜く知恵も情報もなかった。

850: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 01:12:16.17 ID:RCcQxMMg0
イジメは相変わらずであり、放課後に捕獲されて、
ドカドカと蹴られたりすることもあった。

ただ、俺は柴田という味方?が出来つつあった。
真田との関係も構築しはじめていた。
コミュ障としては、とても頑張っていたと思う。

将棋名人に谷川というのが居る。
終盤の手が早く「高速の寄せ」と呼ばれている。
ご面相はいささかぶーだが、指し手はイケメンな一流どころだ。

俺は真田を、この時期から「寄せて」いくことになる。

ここを読んでくれているお前ら。
1ヶ月以上もだらだらと付き合わせて悪かったな。

俺も当時の記憶がリフレインして、
フラストレーションがたまりまくっている。

が、もうちょっとだ。
もうちょっと、我慢してほしい。

お前らにも覚えがあると思うが、
何をやっても上手く行かない時があるように、
なんだか知らんが幸運が重なることもある。

俺は柴田という話し相手を得たあたりから、
ちょっとした「確変(パチンコで玉が出まくる状態な)」
に入ることになる。

851: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 01:14:02.99 ID:RCcQxMMg0
もちろん、俺へのイビリは続いていたが、
俺の高校生活は確変を迎えつつあった。

そして、それは真田の存在によって、決定的になる。

「完全に入った」状態である。


           ____       )  石橋、ダンカン、待ってろお!他力本願なめんなお!
        /  \  丿\     `v'⌒ヽ/⌒ヽ/      ,. ‐- .. _
       /  ( ●)  (●)                  /  __  `` ー- 、
     /  ::::::⌒(_人__)⌒ヽ              , ィ/   ゝヽ ̄ヽ ー- '
     |       |r┬-|   |            _ / { {ヽ、_   ヽ' ノ_,.〉  
     \        `ー'´  /ァー- 、_ ... -‐ '    ヽヽ、 `>、..ノ=┘
       /j >-‐ ' ´/ /   /    /   _ノ      \ `ー '!
   , -‐ 7´/{⌒|  / _/   j                  >‐'
  / / //| 〉‐f/ \'    !                ,  ' ´
 / ,' > .|/ レ   ゚ノ    |           ,.. -‐ '"
/  {  ヽ |  〉  /__  t     ,. -‐ ' ´
  |   ヽ| / /  '   `  ヽ、  /
  |   `!//           /


そして、確変は対DQN防衛戦線だけで終わらなかったのだ。
少なくとも、俺はそんな手ごたえを感じていた。
この結末はかなり先になるが、俺は話の結末を急いではいない。

まずは図書室に移動する。

852: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 01:18:21.47 ID:RCcQxMMg0
真田の話と言いながら、突入できず、すまそ。
続きは明日に。
けっこう、酔っ払ってきたので、選択筋@太郎のスレでも遊んで寝るわ。

今日もお前ら、読んでくれてあまとな!

863: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 13:01:15.53 ID:RCcQxMMg0
思えば、高校に入ってからの俺は、図書室に通い詰めている。

俺というスライムが発生することを覚えてしまった、
エセ勇者の石橋・ダンカンのパーティが
「狩り」に来るかとも心配したが、
あの一件以来、奴らは来ない。

あまり経験値が美味くないのだろう。
ま、俺だしな。

片や、俺にとっての図書室は
はぐれメタルが出まくる
経験値稼ぎの場であった。

巨大すぎる知の宝庫だったのだ。

この頃の俺は秋山の気を引くために、
やたら難しい本を選んでは読んでいた。
今考えればキモイだけなんだが、
厨二病とは、自分の尺度だけで世界を把握する決意である。

865: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 13:10:32.42 ID:RCcQxMMg0
たとえば、エーコの「記号論」

俺はシンボリズムについて3秒ほど考察したが

「記号がシンボルとして時間の中にあって
変化するのであれば、
つまりはチンポのことなのか?
これはチンボルと言っても過言ではない」

とフロイト的に解釈して終わらせた。
要するにだ、理解できなかったのだ。


あるいは立花隆の「田中角栄研究」をひもときながら、

権力と恫喝と贈賄を組み合わせた
集金システムについて学んでみたりもしたが、
角栄の豪胆なエピソード以外はすっ飛ばして読んだ。
結局、脳に刻まれたのが

「神楽坂の料亭は、昼間でもセクロスさせるのかぁ」

という印象だけだったという厳然たる事実は、
当時の俺の政治に対する問題意識の高さがうかがえると言えよう。


梅棹忠夫の「知的生産の技術」においても、
京大型カードによるDQNの区別を試してみたり、
使い方は完全に間違っていた。
今にして思えば、DQNは俺にとっては珍獣であったので
梅棹の生態学的なアプローチは
当たらずとも遠からずであった。
フィールドワークそのものである。
まぁ、途中で飽きて、カードにチンポの絵とか描いていた。
そこには漫☆画太郎画伯への憧憬が見てとれたかもしれない。

866: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 13:14:23.63 ID:RCcQxMMg0
いずれにしろ、秋山に見せるためだけの履歴なのだ。
頭に入らなくても、ぜんぜん、オッケー!
貸出カードを難しそうな(モテそうな)ワードで埋める、
俺の純粋な長い旅路なのだ。

旅は出会いだ。
ほとんどの書物には出会いがしらに、
俺が理解することを放棄して、経験値は身に着かなかったがな。

つまり、せっかく遭遇したが逃げられた状態だった。

しかし、中には本当に腑に落ちるものと出会うこともあった。
そこは俺の血となり肉となった。経験値、うまーである。
まじんぎり、が決まった感じかね?

まさに、俺にとっては、はぐれメタルな狩場であった。

867: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 13:20:04.32 ID:RCcQxMMg0
この頃、クラスでの女子の評価は絶望的であったこともあり、
秋山は俺にとって特別な存在になっていた。

イジメられてる姿を女子に見られるのは辛かった、ほんとに。
そして、それに慣れてきている自分には、
怒りよりも諦念が先にやってきた。

その反動もあってか、俺は勝手に

「秋山は図書室の女神だから読書する男性が好きなはず。
この池沼という名の沼に咲いた一輪の美しい蓮華、
掃き溜めに舞い降りた鶴」

とか勝手にメルヘンぶっこいていた。

もうクラスの女子は捨てた。
関係ない。俺は秋山に生きる。


            クラスの女
     関・係・ないから              γ⌒) ))  関係ないから
        ___(⌒ヽ             / ⊃__
       /⌒  ⌒⊂_ ヽヾ          〃/ / ⌒  ⌒\
(⌒ヽ∩/( ⌒)  (⌒) |(⌒ヽ       γ⌒)( ⌒)  (⌒) \ ∩⌒)
 ヽ  ノ| :::⌒(__人__)⌒ ::| ⊂ `、三  三 / _ノ :::⌒(__人__)⌒ 〃/ ノ
  \ \    )┬-|   / /> ) )) ( (  <|  |   |r┬(    / / ))
(( (⌒ )、 ヽ_ `ー‐' ,/ / / 三 ( \ ヽ \ _`ー‐'  /( ⌒)
  \ \ /                               / /

868: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 13:24:36.47 ID:RCcQxMMg0
秋山である。
秋山奈々にちょっと似てるので、秋山である。

no title


俺はメルヘンぶっこきすぎて、
秋山はウンコはしないと生物学を無視して、
半ば本気で信じていた。

百歩譲って、ウンコしたとしても、それはピンクだ!
(誰も譲ってくれなんて言ってません)
あるいは半円アーチの大理石だ。ロマネスク調のな!

この日も俺は図書室で

「なんか、難しそうで、モテそうな本ないぽ?」

とウロウロと歩き回っては、
秋山をチラッチラッと視姦していた。

この日の夜に予定している、
俺の脳内の宴のために。

堕落し粗野になったローマ風の様式美が
秋山に襲い掛かるのだ。

露出の多い服を着せられて、頬を赤らめながら、
俯き加減で秋山は歩を進める。

王座で、股を広げて待っている俺に向かって!

真夜中の儀式。

そのアーキテクチャのヒントを、
生の秋山から吸い上げないとならないのだった。

多分、俺がサトラレだったら、
秋山は泡吹いて、卒倒すると思う。

いずれにしろ、俺はゆっくり秋山の衣服をはぎとりながら、
よく分からない美味そうな果物とか食っちゃうって寸法だ。

このよく分からない果物ってのがポイントな。
なんか、西洋の絵画とかに出てくんだろ?変なの。
あれよあれよ。

870: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 13:34:27.28 ID:RCcQxMMg0
中間テストの後、しばらくして結果が返された。

宿題であった読書感想文も戻ってきた。
優秀なものを見本として5人ほどピックアップされ、
プリントが配られた。

俺の感想文もそこにプリントされていた。

うほwww俺GJwww
DQN高校であるから普通に頑張って書いて、
見本にならないわけがない、
とは思っていたが、それでも俺は嬉しかった。

プリントされなければ、
仕込んだ刃も効いてはこないのだ。

残念ながら、真田のものはなかった。
俺以外の4人は違うクラスの知らない生徒のものだ。

隣から声がかかった。
真田だった。

873: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 14:09:00.55 ID:RCcQxMMg0
真田「よぉ」

俺「あうあう」

戻されたプリントを裏にも返さずに、
無造作に机に置いた真田である。
銭湯でフルチンのタイプですね・・・

俺はこの返された答案用紙の扱い方で人を見る。
どうだ、キモいだろう?
むふふ。

真田「出川、すげーな。
言われたとおりにやったら、70点もらえたぞ。
ほんとに、目次みながら適当なこと書いて、
1時間かかんなかったしなあ。まじ助かったわ。ありがと」

当たり前田のクラッカーである。
と言いたいところだが、ホッとした。
ほんとに安心した。

真田スペシャルとして、
俺が脳みそフル回転させてコンサルティングしたのだ。
楽して結果を出してもらわなければならない。

自信が無いわけではなかったが、賭けの要素も強かった。

875: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 14:12:22.38 ID:RCcQxMMg0
当時の俺は知る由もないが、マーケティングの世界では
個人にモノを売る時の、
強力な3要素というものがある。

それは、

楽して金が儲かる
簡単にコンプレックスが解消される

そして、3つ目は

短時間でスキルが身に着く、結果が出る

だ。

インチキ臭い商品なのに、なぜか生き残ってのあるだろう?
それは、だいたい、この3要素のいずれかだ。

さらに禁断の技としては「病気が治る」「エロ」などもあるが、
おおよそ、上の3つである。

宝くじが当たる水晶のお守り
簡単に痩せるという変な機械
聞き流すだけで英語が出来る原価の50倍くらいのCD

少年チャンピオンやレディコミの表4を飾るもので、
上に挙げた商品以外を俺は見たことがない。

真田だって、人間である。
食いつかないわけがないのだ。

876: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 14:13:27.54 ID:RCcQxMMg0
ただし、インチキ商品とは違い、
俺の場合は結果も出さないとならない。

常に緊張を強いられるわけだが、
これこそが俺の戦いだと腹をくくっている部分もあった。

すでにこの頃、俺は暴力への耐性は相変わらずのゼロであったが、
しぶとさ、ハングリー精神のようなものは培われていた。

よくも悪くも、精神はボンボンから野良犬へと
変貌をとげはじめていた。

俺「良かった。あう。良かった」

とはいえ、真田は相変わらずちょっと怖い。
ビビりまくる、俺である。

本当に良かったなwww俺www
これで赤点でもくらってたら、
殺されてるかもしれなかたったwww

877: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 14:16:08.92 ID:RCcQxMMg0
真田「助かったわ。これ、貰ってくれや」

真田はそう言うと、紙袋を俺の机の引き出しにねじ込んだ。

中を空けるとタバコだったwww
2箱入ってる。

「タバコを奢るわ」とは言われていた( >>448 参照)。
その時、俺は何も返事をしなかった
(あうあう言ってて、出来なかったってのもある)。

コミュ障である俺は、
自分からアクションを起こすことはほとんどない。

多くは、相手に行動に反応するのが、俺のやり方である。
やり方というか、それしか出来ないわけだ。

であれば、最適な反応をしなければならない。
チャンスは受動的である分、少ないのだ。

最適化のためには、誰よりも観察をすること。
情報を仕入れることを自分に課していた。

真田についても、俺はよく見るつもりだった。
たとえば、言動と行動は一致するか?
真田への深い洞察なくして、彼を籠絡すること、
俺のバックにすることなど出来はしない。

つまるところ、結局、準備である。
出来ない準備もある。
しかし、準備ができるものは、しておくべきだ。
ここで労を惜しんではならない。

878: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 14:21:31.89 ID:RCcQxMMg0
この日のために、俺は

「良い点数をとった時にするであろう、真田のお礼」

という流れを、
いくつかシミュレーションしていた。

タバコが用意されていた。
これは、真田が俺に礼をする、
ことを想定していたことを示す。

もちろん、自分で吸うためのものをたまたま、
と考えることもできるだろう。

ただ、その場合に2箱は多い。
学内でタバコを所持しているのが発見されれば、
謹慎、あるいは停学である。
このあたりの校則や罰則は、実は進学校の方が甘いくらいで、
DQN高校は厳しい。

真田は「点数が良かろうが、悪かろうが、礼をする」
つもりだったと俺は踏んでいる。

あくまで俺の予想だから、
点数が悪ければタバコはくれなかったのかもしれない。
結果が出る前から、丁寧に礼を言っていた真田の感じから、
おそらく、点数に関係なく俺にタバコを用意したと無理矢理予想した。

ここで矛盾が発生すると思われるかもしれない。
答案が戻るのを待たなくても良いのでは?
本借りた時点でタバコ出せばいいじゃん、と。

俺は真田が「区切り」のようなものを大切にする傾向がある、
と考えていた。

DQNはケジメが好きである。

これらすべては予想の予想である。

しかし、見えないものを無理してでも見る、
輪郭を決めていかなければ前には進めない。

慎重に観察して、大胆に判断する。
俺が自分に言い聞かせていたスタンスである。

879: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 14:24:46.88 ID:RCcQxMMg0
義理を大切にする真田であるならば、
ここは俺が「損得なしで真田に貢献した」
という印象をさらに強く持たせる必要がある。

真田は謝礼を固辞した俺を
そのままにするわけがないという読みも、
ほとんど確信としてあった。

とにかく真田には貸しを作っておく。
石橋・ダンカンのように力で奪う人間でないことは、
もう分かっていた。

真田は相手が誰であろうとも、
借り貸しという気持ちを持つ人間なのだ。

俺はそこに付け込むことにした。

ああ、ずるいさ。
情けないかもしれない。
だが、これが俺の生き残る最適解なのだ。

俺「あう、吸わない、タバコ、
気持ちだけ。ほんと、いいから。あう」

コミュ障が一生懸命に遠慮してるように見えるだろうが、
俺にとっては必死の政治だった。

真田。
お前はカッコイイ。
そしておそらく真っ直ぐなんだろう。
何者も恐れず、誰にも媚びず。

そのまま生きてくれ。

俺は日蔭の男なんだ。
でも、放置はしないでくれよ!
げへへ。
おひょひょ。

しばらく考えた素振りの真田であったが
「じゃあ」と言って口を開いた。

880: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 14:25:37.70 ID:RCcQxMMg0
真田「今日の昼休みに、メシ奢らせてくれねーか?
大したもんじゃねーけど」










カンチャンズッポシイイイイイイイ!
(麻雀用語な。うまくハマった!みたいな時に使う)。



え?
何?
ランチのお誘い?
急なんですけど。

そりゃ、喋ったことあるけどぉ、仲いい方じゃないしー。

(/ω\)

ってか、けっこう自然に誘ってくるんですけどぉ。
慣れてない?
ってか、慣れてない?

イケメンだからって誰でも喜んで着いていくってわけじゃないし。
どーしよっかなぁ。

真田かぁ。
うーん、真田かぁ。

881: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 14:29:02.28 ID:RCcQxMMg0
じゃなくて、俺。

なんと!

俺、高校入って、初めて誰かと昼飯食うのか!?
戦略に基づいて行動していたとはいえ、
これは展開が美味しすぎる。

俺「あうあう、昼好き、メシ好き」

インディアン発動。
見事なまでの先住民族である。

真田「このまんまじゃ、悪いからよ」

俺「気にしない。あうあう。でも助かる。あうあう」

ぜってー逃がさねーぞ、真田。

882: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 14:32:47.28 ID:RCcQxMMg0
俺は昼休みが待ち遠しくて、
いつもより激しく斜め前の後藤を頭の中で犯していた。

後藤もそんな俺の高ぶりに応えて、いつもよりも激しかった。

後藤を七回くらい逝かせたあたりで昼休みに入った。

真田「じゃあ、行くか?」

いつもは一人でさっさとどこかに出かけていく真田が、俺に声をかけた。

俺「行くか」

ドキドキしながら真似してみた。
行くか、だってよwww俺www
どこで覚えたんだよwwwそんな言葉www

俺は脳内で、ピクピクと痙攣して、
涎を垂らして白目を剥いてる後藤を捨て置き、
真田と共に歩き始めた。

883: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 14:33:26.94 ID:RCcQxMMg0
どこに行くつもりなのか知らないが、連れだって歩く二人。

教室を出る直前。
感じたぜ、ビンビンと。
ああ、突き刺さってくる視線をな。

石橋、ダンカンの唖然とした表情。
羨望を宿したその薄汚い目から、俺の背中に向けられている、
ねちょねちょした液体のような視線。

突き刺さったあああああああああああああああああああ。
まとわりついたあああああああああ。

これなんだよ、俺が狙っていた真田籠絡の第一歩。

卑怯でもいい。
情けなくてもいい。
俺は俺のためだけに俺の学園生活を無事に終了させるために、
周りにあるものは親だろうが、
真田だろうが、
後藤のタンポンだろうが、
なんでも使うと決意した。

885: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 14:36:34.52 ID:RCcQxMMg0
渡り廊下を歩き、購買を過ぎる。

あれ、この先って・・・

真田「全部安いけど、好きなもん食ってくれや」

俺「が、が、学食いくの!?」

俺は思わず、普通に声を出してしまった。

>>366-367 でも書いたとおり、学食は修羅の住む街。
石橋を瞬殺する殺し屋ですら、
名乗ることさえ許されていない、名もなき修羅。
2年と3年がのさばっていて、1年でここで食う奴はいない。

あの北中、東中の連中でさえ、
遠慮して近づかないのだ。

そんなことはお構いなしの真田は

「カツカレーが旨いぞ」

などと唖然としている俺に提案してくる。

俺「あう、一緒、真田と一緒の、食う。俺、わからない」

再びのインディアン発動。

887: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 14:41:13.25 ID:RCcQxMMg0
中庭に面して配置された学食の窓からは、
アキニレの緑がよく見える。
池があり、水をもとめて鳥が飛んできたところだった。
昼時は緑を抜けて差し込む光が、土の地面を照り返す。

そんな中庭の風情とは打って変わって、
学食の中は騒然としている。

生徒の学年は、上履きの先芯と月型芯のゴム色で分かる。
黄色が7割、赤が3割。
つまり、3年が7割、2年が3割というところだ。
いくら探しても、青は真田と俺だけだった。

腹を空かせた若い男たちが、列を乱しながら、
注文の声をはりあげ、腕を突き出す。
自分の食い物を受け取ると、トレイに乗せて、
乱暴に人波をかきわける。

これって、世紀末じゃないのか・・・
俺は、北斗の拳に出てくる名もなき村人の気分だった。
シンことキングが支配する城下町の酒場に、ぽつねんとバッド。

ハート様とか暴れて、俺は殺されるんだろうか・・・

ケンシロウだけが頼りだよ・・・

888: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 14:42:48.76 ID:RCcQxMMg0
真田はまず俺の分のカツカレーを確保し、
トレーごと渡してくれた。
そして、またカウンターに戻ると自分の分を持ってきた。
ちんまりとリンゴジュースも乗っていた。

やっほい。

真田「もうちょっと時間経つと空くんだけど、
うどんくらいしか残らねーからよ」

俺「あうあう」

君となら、うどんでもなんでもいいよ。

確かに、混んでいる。
どのテーブルも満席である。

座れるところはあるのかなぁ?
別に立ち食いでもいいけどね。

その時、俺のDQNスカウターに強い反応があった。

斜め後ろに何かある。
ありゅ!!!

890: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 14:47:17.66 ID:RCcQxMMg0
という俺の心配はよそに、
恐ろしい面相の先輩方、真田を見ると破顔した。

先輩1「おお、真田。珍しいな、今日はツレが居るのか?」

真田「ちわっす。クラスの奴です。世話になったんで」

先輩2「地味なカッコしてってけど、コイツも危ないわけ?」

俺は完全に地蔵と化していた。
そう、ちんまりと石化していたのだ。

あ、金の針とか、要らねーからな、お前ら。
そのまんまにしててくれ。
「参加」とか「復帰」とかまったく興味ねーから!

ああ、まったく興味ねーよ。

真田「須藤たちと一緒にしないでくださいよw
出川は不良じゃないんで、勉強とか見てもらってんです」

先輩1「真田が勉強とかwww梶さん聞いたら泣くぞwww」

梶さんって誰?
ねー誰?
あたし、聞いてないわよ。

とは思ったが、当然黙ってる俺。
だって、地蔵だもん。

真田「梶さんとか止めてくださいよw
俺、ヤクザになる気なんか、前も今もゼロっすよ」

やっぱりそっち系かい!!!!!!!!

891: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/24(土) 14:49:00.59 ID:RCcQxMMg0
ちょっと離席。
また次回、よろっすー。

今日もお前ら、ありまとな!