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ボンボン転落してDQN、金の亡者の話 その1
555: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/12(月) 19:46:35.11 ID:s4wV0ASz0
アンタッチャブル柴田英嗣に似ているとは書いたが、
メガネもかけてなければ、犬っぽくもない。
ただ、的場や前田のギャグに突っ込む時に声がデカイので、
柴田としてある。

「こっち来てみん」

俺は、ポケットに手を入れて先導する柴田を追った。
向かったのは用具室だ。
裏門と校庭の間にあり、部室からも遠いため、
あまり人が来ないところだ。

この高校は歴史だけはあり、立地も郊外だったので、広かった。
緑も多く、樹齢を重ねた大木も少なくない。

この高校と書いたのは、いまだに
「俺の高校」という気分にはならなかったからだ。

この日、ようやく俺は「この高校」が「自分の高校」
であることを認める。
良くも、悪くも。

556: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/12(月) 19:49:25.45 ID:s4wV0ASz0
そろそろ、俺の高校に名前をつける。
●●県栗●●高校というところだが、横浜高校にしようか。
今日、横浜銀行の審査が緩いって話だったんでw
ゆるゆるだってよ、お前らwww

先月も別のところで同じこときいたんだよね!
すぐやらせるらしいぞwww

ま、銀行の審査基準なんて、支店長やら担当者が異動近いと、
なんとなく空気で分かるらしく、そのタイミングではゆるくなるらしいが、
横浜銀行は常時いけるらしいぞ。

すぐやらせる女みたいな?
5年前だと、スルガ銀行とか。

ビッチバンク?
ビッチバンクいいよビッチバンク
その笑顔で俺の口座に振り込んでおくれ。

別にいいやん、ビッチでも。
笑顔がかわいくて、一生懸命生きてれば、俺は共感するけどね。
俺に共感されても、ビッチもキモイだけだろうが。
ぎゃはははwww

ま、いいや。話を戻す。

557: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/12(月) 19:50:25.37 ID:s4wV0ASz0
柴田。
石橋ら5人組の中では、髪の毛も黒く、短髪にしてある。
整髪料で立たせているから、
髪型だけみれば、バービーボーイズのコンタのようだ。
学生服も短ランではあるが、ド派手なボンタンというものではない。

ちなみに裏地は昇り竜。
「親不孝」とか刺繍しようかな、
と的場と話しているのを聞いたことがある。
馬鹿なんだろうな。
可哀相に。

的場と同じ中学で、クラスでは前田を加えて3人組となった。
悪さをするのは3人で、というのが多い。

俺は再び殴られるのかと怯えていたが、
柴田は歩きながら意外なことを口にした。

「昨日は悪かったな。ちょっとナシ、あってよ」

早く言ってよ!
俺はこういうアテンションだったら、いつだってプリーズなんだよ!

559: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/12(月) 19:53:45.92 ID:s4wV0ASz0
まずは安心した。

もうちよつと柴田の言葉が遅れてゐたら、俺の美しい真白き下着に、
怯へを宿したイエロォな水滴が
時をかけてゆつくりと滴る。やがて点が線を結び、
面となつて花開く。
吾のズボンの漆黒をさらに深めてゐただろう。
小さく細く揺れる太ももと膝を伝ひ、足首にたどり着くであらう、
あの温かな軌跡の予感は無かつたのだつた。

ま、端的に言えば、チビらなくてセーフだったってことだ。

思い起こせば、確かに昨日、柴田だけは俺をからかわなかった。
ハブられるのを恐れて、同調したという空気だった。

とはいえ、相変わらず用件は不明であるし、
不気味であることは変わりがない。

ハナシをナシとか言っちゃってるし。
それ、カッコいいとでも思ってるのかしら
(ヤキ入れられてから、ちょっとオカマ口調だな)。

用具室の脇には、ベンチの代わりか木箱が置いてある。
初夏のこの季節は緑が多く、
今の俺なら昼間からビールでも呷りたいところだが、
まったく解放感のない初夏の良い天気。

560: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/12(月) 19:55:37.41 ID:s4wV0ASz0
俺「・・・あの・・・何?」

柴田「そう構えんなよ」

柴田「悪かったと思ってるだ。悪りぃな、出川」

俺「・・・」

柴田「誰かから、なんか釘さされたか?」

教師への告げ口を恐れての行動か?

俺は合点がいった。

すでに言わないでおこうと腹はくくっていた。
小学、中学とみても、教師に助けを求めて、
事態が好転した記憶はない。
ただ、柴田の話を最後まで聞いておこうとは思った。
いずれにしろ、俺はコミュ障である。
途中で話をして、勝手に自分にメダパニかける可能性も否定できない。

俺「ダンカンから、チクんなよって」

柴田「ダンカンw」

562: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/12(月) 19:57:45.88 ID:s4wV0ASz0
やや侮蔑のニュアンスを含む柴田の
「ダンカンw」
は束の間だけ俺の心を癒す。
もちろん、俺はそんなことを表情に出さない。

人を信用してはならない。
DQNを人とは思ってならない。

俺はDQNに父親を殺された(殺されてません。勝手に倒産ぶっこいて逃げました)
俺はDQNに妹を犯された(妹、そもそもいません)

ま、当時の俺は
チンポと本心は、皮をかぶせて守ることを決めていたのだ。
ああ、がっちりとな。

柴田「そっか。えっとな、出川ってさ、
いまひとつ器用じゃねーから、
とりあえず、見えてる展開を伝えておくわ」

俺は柴田が何を言おうとしているのか、
いまひとつ分からずにいた。
お前のこと分かってるんだよ、俺は・・・みたなトークを
俺にやって何の得があるんだろうか?

コイツも読書感想文か?(それしかねーかよ、俺は)

563: 名も無き被検体774号+ 2012/11/12(月) 19:59:48.11 ID:bbUwjiFc0
なんだかまっさらの本読むみたいできもちいい

564: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/12(月) 20:00:13.74 ID:s4wV0ASz0
そんな俺の困惑をよそに、柴田はタバコを取り出すと火をつけた。
一服目を深く吸い込むと、
じっくりと灰にためて、美味そうに吹き出した。

え!!!
タバコとか吸っちゃうわけ!!!
あ、ヤンキーだから、吸うか。
そりゃ、そうだよね。

柴田が箱を指で叩いて、俺にも1本差し出してきた。
俺はブンブンと手を振った。

使えねーな、お前は、って顔しただろ!
今したよな!
分かるもん、俺には分かるもん。
続ける。

565: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/12(月) 20:07:08.72 ID:s4wV0ASz0
柴田「チクるとよ、まぁ、問題になるじゃん?
そりゃ、どの程度か、なんて分からねーよ。
でも、そりゃ、一応、石橋にしても、
もちろん、俺にしても困るわけよ」

そりゃ、困るだろうね、あんたたち。
でも、あんたはあまり困らないんじゃないの?
よく考えれば。
終わってから、呼ばれて土下座の手伝いしただけでしょ。
ちょっとだけ、話が見えなくなってきましたよ。

それにしても、DQNがタバコ吸ってるの、
近くで見るの、そういえば初めてだ。

少しドキドキするかも。

(/ω\)

柴田かぁ、もうちょっと背が高ければなぁ。
あたし、選ぶタイプだから
(すみません、ホモスレ好きなんです・・・)。

柴田「でもなぁ、ボンボン学校から来たお前は、
まだよく分からないと思うけど、
チクるのは、マズイわけよ。
脅してると思われっかもしんねーけど
『アイツはチクる』
ということで、他クラスの奴まで、
出川の存在がインプットされるわけ」

566: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/12(月) 20:10:05.64 ID:s4wV0ASz0
わけわけ言ってるけど、えっれー不吉なんだけど!あんた!
今でも死にそうなのに、他クラスの凶暴なのにまで参戦されて、たまっか!
生身なんだよ、俺は!
お前らみたいな武装戦線じゃねーんだよ!
サイヤ人じゃないの!

いいか、俺のあこがれは空気だ!
名もなき花をリスペクトしてんだよ!

インプットなんて英語、嫌いなの!
なんなの、プットって。
きもい!

柴田「でよ、昨日のヤキさ、あれどう思う?」

俺「どうって、激しく痛かったけど・・・」

柴田「ぜんぜん、手ぬるいんだけどさ・・・」

あんた、見てもないのに、よくそんな勝手なことを、ほざけるわね!
俺は二丁目のオカマの口調で柴田のチンボコ握りつぶしてやりたかったよ。

と、完全にオカマモードであったが、
やっぱりそこそこの不良だけの洞察はあった、柴田である。

そう、この洞察こそが、柴田なのである。




ということで、
今日もお前ら、読んでくれてありがとな!





となるところが、昼間にすっげー、尻たたかれたので、
もうちょっとだけ、続けるお!

ってか、続けさせろ!くだしゃい。

568: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/12(月) 20:17:27.58 ID:s4wV0ASz0
柴田「顔、いかれてないだろ?」

俺「そういえば・・・」

柴田「なんでだと思う?」

俺「まさか、あれで手加減してくれたとか?」

柴田「いや、そりゃないはず(笑)」

ぜんぜん、面白くありません。

柴田「でも、怖がっていたわけだよ、
石橋はセンコーにバレっの。だから、お前の顔、キレイなんだよ」

顔がキレイなんて言われたの初めてかも(*^^*)
もちろん、違う意味だよな・・・

柴田「もういっこあるわ。不良っつても、色々なキャラがあるわけ。石橋はしつけーからよ、チクったら、もうお前に手を出さないかもしれない。俺も付き合い浅いから、よくわかんねーけどな、そこんところは」

それ、好都合じゃないの?(*^^*)

柴田「で、本当の地獄が始まるわけ。毎日、上履きがなくなる。教科書が燃えてるなんてのは日常」

それ、日常じゃなくて、異常っていうんですけど・・・

570: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/12(月) 20:23:52.28 ID:s4wV0ASz0
柴田「そんなのは序の口だよ」

目が変な光り方してませんか?あんた。

柴田「さらに、知らないクラスの奴にいきなり後ろから蹴られる。
多摩中(石橋、ダンカンの中学ね)はほとんど全クラスにいるからな。
で、出川は吹っ飛ぶ。起き上がって、顔見る前に、逃げられる。
それ、毎日、繰り返されてみん?」

死体が発見されなければ殺人事件にはならない。
蹴った人が分からなければ、チクりようがない。
いやん!
完全犯罪じゃん!

柴田「他にもあるぜ。
2年や3年の先輩のサイフをギってよ。お前のロッカーに入れておくとか」

濡れ衣までいきますか・・・
冤罪って2012年でも日給1万2000円だぞ、上限でだ。
割に合わないんだよ!

柴田「タンポンなんて手もあるなwww」

誰のだ!?
まずはうpだろ!
じゃなくて!

そろそろ耳が腐りそうだよおお。

俺はとめにかかった。

俺「チクるつもりはない。だったら、昨日、言ってた」

571: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/12(月) 20:25:27.55 ID:s4wV0ASz0
柴田「そうだよな。俺もそう思ってさ。
ま、俺自身、チクる奴とか嫌いだけど、お前は真面目じゃん?
別にどっちでもいいかな、と思っていたけど、
昨日と今日とチクなかったから、
けっこう気合入ってるのんかな?とか。
ま、違うんだろうけど、俺らとは。
なんつーの、アレだよアレだ」

DQNの特徴の一つに、言語化できないことは無理しないで
アレでスルーするという、
とても迷惑な習性があることは覚えておこう。

柴田「で、一応はさ、伝えておこうかな、と。
ルールとか上等な話じゃねーけど、
あまりに出川はズレってから」

572: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/12(月) 20:26:57.43 ID:s4wV0ASz0
自分のズレについて、俺が見ているものと、
柴田が見ているものが違うのは想像できるが、
いずれにしろ、ズレていることは否定しない。

そして、柴田が言いたいことはきっと
「アプローチ」とか「スタンス」
なんだろうな。
柴田。わかるぞ。

ただ、意外なんてもんじゃなかった。
完全に「向こう側」のはずの柴田がなんで、
なぜに俺にこんなに有益な情報を流すのか?

心を読んだかのような柴田が続ける。

柴田「出川さ、勘繰ってるよな。
コイツ、なんで、俺に空気入れてんだよ、
と思うわな、普通。なんでだと思う?」

柴田はコイツのところで自分を指差しながら、
覗き込むような顔で俺をみた。

俺「わかんないよ」

油断して、うっかり、母親と話す口調になってしまった!
が、別に柴田は気づいていない。
セーフだ。
俺は俺の中のこういう小さい闘いが多すぎて、
なんだか石橋・ダンカンがいなくても、
すっげー疲れる高校生活だっただろうな、と思う。

573: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/12(月) 20:33:09.52 ID:s4wV0ASz0
柴田「俺は自分なりにだけどよ、気合じゃ負けないつもりなわけ。
まぁ、北中の奴らみたいな根性もんじゃねーし、
特にバラ中っていうか、真田とか鬼かと思うけど。
正直、あいつらにはビビるよ。
でもよ、一応は俺と的場って、出身中学じゃ番はってたんだよ。
北中にボコられて、仲間やられて、俺もイモ引いたけどさ。
言うなよ、他の奴に。
ま、厳密に番とか決まってるところじゃなかったけどさ。
中学によってちげーんだよ、そのあたり。
だから、まぁ、なんてーの。
イジメ?そういうの、ちょっとイヤなんだよな。
出川には悪いけど、シャバ憎イジるとか、逆にナメらっれし」

だったら最初からしないで欲しいんですけど・・・

柴田「あ、今日のことは誰にも言うなよ」

俺「言わないよ」

この日以来、俺と柴田は喋るようになる。

そして、柴田にはこれから色々なことを教わる。

ヤンキーとは?
DQNとは?

とはいえ、石橋・ダンカンがイジめているときに、
完全に離れているかといえば、混ざる時もある。

ただ、柴田のパンチは振り被りは大きいが、
インパクトの瞬間に手を抜くようになり、痛くなかった。

別にイジメが終わったわけではないが、
俺には少しだけ心に余裕が生まれた。

そしてそれは、あの5人に入った、
最初の小さなヒビでもあった。

575: 出川哲朗 ◆gc/JX/GnzA 2012/11/12(月) 20:34:06.60 ID:s4wV0ASz0
とりあえず、ここまで!
読んでくれたお前ら、ありがとな!

次は未定だけど、また読んでくれると嬉しいぜ。